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AIに売上や顧客情報を入れていい?情報の種類別の判断表

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結論から言うと、AIに入れてよい情報かどうかは「その情報は誰のものか」と「契約しているAIのプランと設定」の2つで決まります。自社の売上や原価は、設定を確かめたうえで自社の判断で入れられます。一方、取引先から預かった図面や、個人を特定できる情報は、自社だけでは決められません。

製造業のお客様からAIの相談を受けると、「売上の数字をAIに入れて大丈夫か」「顧客名の入った見積書を読ませてよいか」という質問をよくいただきます。この記事では、AIに入れる情報の種類ごとに判断の目安を表にまとめ、主要なAIの設定と、社内ルールの作り方までを整理します。

AIに情報を入れる前に確かめる2つの軸

「AIに入れたら漏れるのでは」という不安は、2つの別々の話が混ざっていることが多いです。分けて考えると、判断がしやすくなります。

  1. その情報は誰のものか:自社だけの情報か、取引先から預かった情報か、個人に関する情報か。預かった情報や個人の情報は、契約や法律で使い方が決まっています。
  2. AIの契約と設定はどうなっているか:入力した内容がAIの学習に使われる設定か、人の目で確認されることがあるか。これは、個人向けのプランか法人向けのプランかで大きく変わります。

図面と学習の関係は図面をAIに入れたら学習される?製造業の情報漏洩対策で詳しく書きました。この記事では、図面以外の売上・顧客情報・個人情報まで広げて整理します。

情報の種類別:AIに入れてよいかの判断表

製造業の事務所でよく扱う情報を、7つに分けました。「入れてよいか」は、学習に使われない設定になっていることを前提にした目安です。

情報の種類例目安確かめること
① 公開している情報自社サイトの文章、カタログ、公開済みの製作実績入れてよい特になし
② 自社だけの数字月次の売上、原価、工数、不良率自社の判断で入れられる学習に使われない設定か。取引先ごとの内訳は③として扱う
③ 取引先名が入った書類見積書、注文書、取引先別の売上表社名を記号に置き換えれば入れやすい取引先との契約に、情報の扱いの定めがないか
④ 取引先から預かった情報図面、仕様書、試作の条件自社だけでは決められない秘密保持契約(NDA)の条文。迷えば取引先に確認する
⑤ 個人に関する情報従業員の名簿・評価、取引先担当者の連絡先、応募者の履歴書原則として入れない。入れるなら条件を満たす利用目的の範囲内か。AIの提供会社が学習に使わないか
⑥ 社内の手順・規程作業手順書、検査基準、社内ルール自社の判断で入れられる取引先の指定条件が混ざっていないか
⑦ 認証情報パスワード、APIキー(システム同士をつなぐ鍵)、ネットバンキングの情報入れない例外なし

ご質問の多い「売上」は②にあたります。自社の数字をどう使うかは自社で決められるので、学習に使われない設定を確かめたうえで、月次の集計や前年との比較に使って問題になることはまずありません。ただし、「A社向けの売上がいくら」という取引先ごとの内訳は、取引先の情報でもあります。社名を「取引先1」のような記号に置き換えてから入れると安心です。

主要なAIの「学習に使われるか」は設定とプランで変わる

入力した内容がAIの学習に使われるかどうかは、各社が公式に説明しています。2026年9月22日に当社が原文を確認した内容を、表にまとめます。設定の名前や初期値は変わることがあるので、使う前にご自身の画面でも確かめてください。

AI個人向けプラン法人向けプラン
ChatGPT設定の「Data Controls(データ コントロール)」にある「Improve the model for everyone」(モデルの改善に協力する項目)をオフにすると、会話は学習に使われない。「一時チャット」は学習に使われず、30日後に削除される(OpenAI ヘルプ)ChatGPT Business・Enterprise・APIなどは、初期設定でビジネスデータを学習に使わない(OpenAI エンタープライズプライバシー)
Claudeプライバシー設定で、会話をClaudeの改善に使うことを許可した場合に学習に使われる。シークレットチャットは、許可していても学習に使われない(Anthropic プライバシーセンター)法人向けの製品とAPIは、初期設定で入力・出力を学習に使わない。評価ボタンでフィードバックを送った会話は例外(同・法人向け)
Gemini(個人のGoogleアカウント)「アクティビティの保存」がオンだと、会話が保存され学習に使われることがある。人のレビュアーが会話の一部を確認し、確認された会話は最長3年間保管される。公式に「見られたくない機密情報は入力しないでください」と案内されている(Gemini アプリ プライバシー ハブ)この記事では確認していません。契約中のプランの説明をご確認ください

3社に共通しているのは、「個人向けは自分で設定を確かめる必要があり、法人向けは初期設定で学習に使われない」という点です。社員が個人のアカウントでばらばらに使っている状態が、いちばん管理しにくくなります。会社として使うなら、法人向けのプランにまとめるか、少なくとも全員の設定をそろえるところから始めてください。

個人情報をAIに入れるときは、法律上の確認が要る

⑤の個人に関する情報は、設定だけの問題ではありません。個人情報保護委員会は、2023年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を出し、事業者に次の2点を求めています(個人情報保護委員会)。

  • 個人情報を含む内容を入力するときは、その個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること
  • 本人の同意なく個人データを入力し、それが応答を出す以外の目的で取り扱われると、個人情報保護法に違反する可能性がある。入力する場合は、AIの提供会社がその個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること

実務では、「名前を消してから入れる」がいちばん簡単です。従業員の勤怠を集計したいなら氏名を社員番号に、応募者への返信文を作りたいなら氏名を「応募者様」に置き換えます。AIに頼みたい作業の多くは、個人が誰かを知らなくてもできます。

取引先から預かった情報は、AIの設定より先に契約を見る

④の図面や仕様書は、AIの設定がどれだけ安全でも、取引先との約束が先にあります。秘密保持契約には、多くの場合「第三者に開示しない」「目的以外に使わない」という条文があります。クラウド型のAIに入力することが、この「第三者への開示」にあたるかどうかは、契約の書き方と取引先の考え方によって変わります。

判断に迷うときは、次の順で考えてください。

  1. 契約書や取引基本契約に、クラウドサービスやAIの利用についての定めがあるかを確認する
  2. 定めがなく、迷う場合は、取引先に「法人向けで学習に使われない設定のAIを使う」ことを伝えて確認する
  3. 確認が取れるまでは、預かった情報そのものは入れず、寸法や材質を一般的な言葉に直して相談する

取引先からAIの使い方を聞かれたときに「当社はこう決めています」と答えられること自体が、取引先からの信頼につながります。

当社が相談を受けるときに、最初にお伝えしていること

当社がお客様から相談を受けるなかで、悩みが深いのは「効率化したい作業ほど、大事な情報を扱っている」という場面です。たとえば、PDFで届く書類を社内システムへ手で入力している作業は、時間がかかるうえに入力の間違いも起きやすく、AIに任せたいというご要望があります。けれども、その書類には取引先名も金額も載っているので、AIに見せてよいのかで検討が止まってしまいます。

このとき当社では、「全部を入れてよいか、だめか」の二択にしないことをお伝えしています。上の表のどれにあたるかを書類ごとに分け、②や⑥のように自社で決められるものから始めます。③は社名を記号に置き換える。④と⑤は、契約と法律の確認が済むまで対象から外す。こう分けると、止まっていた検討が動き出します。

当社自身も、⑦の認証情報については例外を作っていません。パスワードやAPIキーは、AIとのやり取りにも作業の記録にも残さないことを、社内のルールとして明文化しています。AIに画面やシステムの操作を任せる場合の考え方は、製造業の業務自動化はAIでどこまでできるか|3つの段階にまとめました。

AI利用の社内ルールは、まず1枚・5項目でよい

分厚い規程を作る必要はありません。最初は次の5項目を1枚にまとめ、全員に配るだけで、事故の多くは防げます。

  1. 使ってよいAIとアカウントを決める:会社が認めたAIを、会社が把握しているアカウントで使う
  2. 学習に使われない設定を全員でそろえる:設定の手順を画面の写真つきで配る
  3. 入れない情報を明記する:認証情報、個人を特定できる情報、取引先から預かった図面・仕様書
  4. 置き換えのやり方を決める:取引先名は記号に、氏名は番号に置き換える
  5. 迷ったときの相談先を決める:判断する人を1人決め、「入れる前に聞く」を習慣にする

ルールを先に決めておくと、AIに不安を感じている社員も「ここまでは使ってよい」と分かり、かえって使い始めやすくなります。AIを使う前に知っておきたい注意点の全体像は、製造業でAIを使う前に知っておきたいリスクと注意点もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 無料版のAIを仕事で使ってもよいですか?

①の公開している情報を扱う範囲なら、大きな問題はありません。②以降の情報を扱うなら、学習に使われない設定にしたうえで、会社として設定をそろえてください。社員が増えるほど、初期設定で学習に使われない法人向けのプランのほうが管理は楽になります。AIごとの違いはおすすめのAI(LLM)比較で紹介しています。

Q. 学習に使われない設定にすれば、何を入れても大丈夫ですか?

いいえ。設定で解決するのは「AIの学習に使われるか」だけです。取引先との契約と、個人情報の法律上の扱いは、設定とは別に確認が必要です。また、学習に使われない場合でも、不正利用の監視のために一定期間データが保管されることがあります。

Q. 社名を記号に置き換えるのは手間ではありませんか?

Excelの置換機能で数秒で済みます。置き換えの対応表だけを社内に残しておけば、AIの出力を元の社名に戻すのも簡単です。

まとめ:AIに入れる情報は「誰のものか」で分ける

AIに入れてよい情報かどうかは、情報の種類と、AIの契約・設定の2つで決まります。自社の売上や手順書は、設定を確かめれば自社の判断で使えます。取引先から預かった情報は契約を、個人情報は法律を先に確かめる。認証情報は入れない。この線引きを1枚のルールにして、全員で同じ設定にそろえるところから始めてください。

当社では、製造業のお客様向けに、AI利用ルールの作成から、業務への組み込み、社内への定着までをAI活用支援として行っています。「この書類はAIに入れてよいのか」という段階のご相談も歓迎です。お問い合わせはこちらから。

※この記事は一般的な考え方をまとめたものです。個別の契約や法律の解釈は、契約書の内容を確認のうえ、必要に応じて弁護士などの専門家にご相談ください。

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FAQ

よくある質問

A

はい、ご安心ください。基礎から丁寧にご説明し、実際にAIツールを触りながら学べるハンズオン形式で進めます。ITリテラシーに関わらず、どなたでもご参加いただけます。

A

ChatGPT、Claude、Geminiなどの主要な生成AIツールに加え、画像生成AI(nanobanana等)や動画生成AI(veo3等)も扱います。御社の業務に最適なツールをご提案します。

A

はい。製造業AI定着プログラムには、終了後6ヶ月間のチャットフォローが付いています。また、AIアドオン・伴走支援では、実務での活用に課題が出た際のご相談や、新しいAIツールの情報提供も継続的に行います。

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研修ではビジネス向けプラン(データが学習に使用されない設定)のツールを使用します。また、機密情報の取り扱いルール策定もセミナー内でお伝えしますので、安心してご利用いただけます。

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Webセミナー(オンライン開催)の場合、交通費はかかりません。会場開催・訪問実施の場合は、交通費を実費で別途申し受けます。遠方の企業さまもまずはご相談ください。