「LLMO対策には、SEOとは別の特別な技術が必要だ」。そう説明されて、不安になっている製造業の方は少なくありません。けれども、Google自身はこれをはっきり否定しています。公式ドキュメントには、AIによる概要やAIモードに表示されるための「追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」と書かれています。
では、製造業の会社は何もしなくてよいのかというと、そうではありません。AI検索は、これまでの検索よりも細かい条件の質問に答えようとします。その答えの材料になる情報が、自社のサイトに文章で載っているかどうかが問われます。この記事では、製造業のLLMO対策(AI検索対策)を、自社で確認できる10項目のチェックリストにまとめました。
LLMOとは:AI検索に自社の情報を正しく使ってもらうための取り組み
LLMO(大規模言語モデル最適化)は、ChatGPTやGemini、Googleの「AIによる概要」などが回答を作るときに、自社のサイトを参考にしてもらい、リンク付きで紹介されることを目指す取り組みです。SEOとの関係はLLMOはSEOの延長線上か?8割は同じで、2割が違うで整理しました。
Googleの公式ドキュメントは、次のように説明しています(出典:Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」)。
- SEOのベストプラクティスは、AIによる概要やAIモードでも引き続き有効
- AIは「クエリ ファンアウト」という手法を使うことがある。これは、質問を関連する複数の小さな話題に分けてそれぞれ検索し、その結果から回答を組み立てる方法
- その結果、従来の検索よりも幅広いサイトへのリンクが表示される
製造業にとって大切なのは2つ目です。たとえば「SUS304で直径500mmの旋盤加工ができて、小ロットに対応する会社」という質問は、AIの中で「SUS304 旋盤加工」「大径 旋盤」「小ロット 対応」のように、いくつかの話題に分けて調べられることがあります。それぞれの条件に答えるページを持っていれば、回答の材料になりえます。
製造業のLLMO対策チェックリスト10項目
| No. | チェック項目 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 1 | 主要なページが検索エンジンに登録されている | Search Consoleの「ページ」で、製品・技術ページが登録済みかを見る |
| 2 | AIの検索用クローラーを止めていない | robots.txt(巡回の可否を伝えるファイル)で、必要以上に拒否していないか確認する |
| 3 | 大事な情報が、画像ではなく文章で書かれている | 見出しや仕様表が画像になっていないか。PDFのカタログだけに載っている情報はないか |
| 4 | 対応できる範囲が、数値で書かれている | 材質、サイズ、精度、ロット、納期の目安が具体的に載っているか |
| 5 | 「材質×加工方法」など、条件を掛け合わせたページがある | よく聞かれる組み合わせごとに、ページや製作実績があるか |
| 6 | よく聞かれる質問と答えが、Q&Aの形で載っている | 営業や見積の場面で実際に聞かれる質問が、そのままの言葉で載っているか |
| 7 | 会社の基本情報が、どこを見ても同じ内容になっている | 社名・住所・電話番号・設備が、サイトとGoogleビジネスプロフィールで一致しているか |
| 8 | 構造化データの内容が、ページに見えている文章と一致している | 制作会社に、会社情報や記事の構造化データが本文と合っているかを確認する |
| 9 | サイト内のリンクで、各ページにたどり着ける | 製作実績から技術ページへ、コラムから製品ページへ、リンクがつながっているか |
| 10 | 自社にしか書けない一次情報がある | 製作実績、加工の工夫、失敗と対策など、現場から出た内容が載っているか |
1・2・3・7・8・9は、Googleが公式ドキュメントで挙げているSEOの基本(クロールを許可する、内部リンクで見つけやすくする、重要な内容を文章で提供する、構造化データと本文を一致させる、ビジネス プロフィールの情報を最新にする)と重なります。3の画像の見出しの問題は、ホームページの見出しを画像にするSEOの落とし穴と直し方で詳しく説明しています。
製造業でとくに差がつくのは、4・5・6の「細かい条件に答える情報」
製造業のサイトでは、「精密加工に対応」「多様な材質に対応」のような、幅の広い書き方がよく見られます。人が読む分には伝わりますが、AIが細かい条件の質問に答えようとするとき、この書き方では材料になりません。
「SUS304・SUS316・チタンに対応」「最大で直径○mm、長さ○mmまで」「1個の試作から対応」のように、条件を数値と固有の言葉で書く。材質と加工方法の組み合わせごとに、ページや製作実績を用意する。見積の場面でよく聞かれる質問を、Q&Aとして載せる。地味な作業ですが、AI検索でも従来の検索でも効く内容です。
当社が支援しているお客様のサイトでも、材質と加工の掛け合わせのページを増やすことで、仕事につながる検索からの訪問を増やす取り組みをしています。考え方はページは見られているのに仕事が来ない|検索意図のズレと対策に、製作実績とコラムの役割分担はコラムは集客・製作実績は受注|役割分担と導線設計に書きました。
AIのクローラーは、目的ごとに分かれている
チェック項目2の補足です。「AIに自社のサイトを学習されたくない」と考えて、AI関連のクローラーをまとめて拒否している例があります。しかし、AIの会社のクローラーは、目的ごとに名前が分かれています。Claudeを提供するAnthropicの場合は、次の3種類です(出典:Anthropic ヘルプセンター、2026年4月7日付)。
| クローラーの名前 | 目的 | 拒否した場合 |
|---|---|---|
| ClaudeBot | AIの学習に使う可能性のあるWebの内容を集める | 今後の内容が、学習用のデータから除かれる |
| Claude-SearchBot | 検索結果の質を高めるために、Webの内容を調べる | 利用者の検索結果に、自社のサイトが出にくくなる |
| Claude-User | 利用者がClaudeに質問したとき、その人の代わりにページを見に行く | 利用者の質問への回答に、自社の内容が使われにくくなる |
同社のクローラーは、robots.txtの指定に従うと説明されています。つまり、「学習には使われたくないが、AI検索には出たい」という場合は、学習用のクローラーだけを拒否するという選び方ができます。ほかのAIの会社も、クローラーの名前と目的を公開しています。まとめて拒否する前に、どのクローラーが何のためのものかを確認してください。
LLMO対策の効果は、どこで測るか
Googleの公式ドキュメントによると、AIによる概要やAIモードに表示された分は、Search Consoleのパフォーマンスレポート(検索タイプ「ウェブ」)に含まれます。当社が確認した範囲では、AI経由の分だけを取り出して見る項目はありません。
手がかりになるのは、検索語の変化です。当社のサイトのSearch Consoleにも、「LLMOはSEOの延長線上の施策ですか?」「製造業の会社がAI検索で問い合わせを増やすには?」のような、話し言葉の長い検索語が記録されるようになりました。AIに質問するような言い回しで探す人が増えていることがうかがえます。自社のSearch Consoleで、質問文の形をした検索語が増えていないかを見てみてください。
よくある質問
Q. LLMO対策の専用ツールや、専用のファイルは必要ですか?
Google検索のAI機能については、Googleが「追加の要件はなく、特別な最適化は不要」と明言しています。まずは、上の10項目のうち、サイトに足りていない情報を文章で補うことを優先してください。
Q. AIが自社について間違った説明をしていたら、どうすればよいですか?
AIは、Web上の情報をもとに回答します。サイトに正しい情報が文章で載っていない、古い情報がほかのサイトに残っている、といった原因が考えられます。会社概要・設備・対応範囲を最新にして、Googleビジネスプロフィールの内容もそろえるところから始めてください。設定の方法はAI時代、製造業にGoogleビジネスプロフィールが必要になった理由で紹介しています。
まとめ:製造業のLLMO対策は、細かい条件に文章で答えること
LLMO対策に、特別な技術は要りません。Googleが明言しているとおり、SEOの基本がそのままAI検索にも効きます。そのうえで製造業がやるべきことは、材質・サイズ・精度・ロットといった細かい条件に、文章と数値で答えるページを増やすことです。10項目のチェックリストで、足りていないところから手を付けてください。
当社は、製造業に特化したSEO対策とWebマーケティング支援の中で、AI検索を見すえたページづくりを行っています。製造業のSEOの全体像は製造業のSEO対策ガイド【2026年版】をご覧ください。「うちのサイトは10項目のうちいくつできているか」の確認だけでも、お問い合わせからご相談いただけます。