「今月はホームページから問い合わせが30件ありました」。GA4(Googleアナリティクス)のレポートでこの数字を見て、手元に届いたメールの数と合わないと感じたことはないでしょうか。返信が必要な相談は数件で、残りは営業メールや、中身のよく分からない送信だった、という話は珍しくありません。
先に結論をお伝えすると、GA4の「問い合わせ件数」は、送信完了ページが表示された回数です。そこには本物の相談だけでなく、営業メール、機械的な送信、テスト送信まで含まれます。この記事では、当社サイトで実際に起きていたことを例に、件数に混ざるものの正体と、本物の相談を見分ける方法、1件ずつ「どのページから来たか」を記録する仕組みをまとめます。
GA4の「問い合わせ件数」に混ざる4つのもの
多くの製造業のサイトでは、お問い合わせフォームの送信後に表示される完了ページ(「お問い合わせありがとうございました」のページ)が表示された回数を、問い合わせ件数として数えています。GA4から見ると、誰がどんな目的で送ったかは区別できません。
| 混ざるもの | よくある特徴 | GA4だけで除けるか |
|---|---|---|
| 営業メール | 人が送るため、入力に時間がかかる。「御社のホームページを拝見し」で始まる提案など | 除けない。内容を読まないと分からない |
| 機械的な送信 | お問い合わせページに直接来て、数秒で送信が終わる。海外からのアクセスも多い | 一部だけ。Googleが自動で除外するのは「既知のボット」に限られる |
| 完了ページの直接表示・再読み込み | 完了ページのURLを開いただけ、ブラウザで再読み込みしただけでも1件に数えられる作りのサイトがある | 計測の作り次第。送信が成功したときだけ数える設定が必要 |
| テスト送信 | 制作会社や社内の担当者が動作確認で送ったもの | 除けない。記録して差し引く |
機械的な送信について補足すると、Googleの公式ヘルプには「既知の bot およびスパイダーによるトラフィックは自動的に除外されます」とあります。ただし、判定に使われるのはGoogleの調査と業界団体が管理するボットの一覧で、「除外された既知の bot トラフィックの量を確認したりすることはできません」とも書かれています(出典:アナリティクス ヘルプ「既知の bot トラフィックの除外」)。一覧に載っていない送信プログラムは、そのまま件数に入ります。
当社サイトで実際に起きていたこと
これは他人事ではなく、当社のサイトでも起きていました。2026年4月から10月4日までに、GA4で完了ページの表示を数えると96件。そのうち51件は、お問い合わせページに直接来て、平均約12秒で送信が終わっていました。お名前・会社名・メールアドレス・ご相談内容を入力して確認画面を通るには、人なら少なくとも数十秒はかかります。半数以上は、人が入力した相談とは考えにくい送信だったことになります。
さらに2026年9月の点検では、当社の計測が「完了ページのURLを直接開いただけでも1件に数える」作りになっていることも分かりました。送信が成功したかどうかに関係なく、完了ページが表示されれば件数が増えてしまいます。
Webマーケティングを仕事にしている当社でも、GA4の件数をそのまま「問い合わせ数」として見ていると、実態とずれていました。製造業のサイトでも、同じことが起きている可能性は高いと考えています。
GA4で本物らしい相談を見分ける3つの目安
過去の件数を振り返るときは、GA4で次の3点を見ると、本物らしい相談をある程度しぼり込めます。
| 目安 | 本物の相談らしい | 疑わしい |
|---|---|---|
| 1. 送信までの時間 | フォームの入力に数分かかっている | サイトに来てから十数秒で送信が終わっている |
| 2. 確認画面を通ったか | 入力 → 確認画面 → 完了の順にページを見ている | 確認画面を通らずに完了ページだけが表示されている |
| 3. どこから来たか | 検索や紹介サイトから入り、会社概要・技術紹介・実績などを見てから問い合わせている | お問い合わせページに直接来て、他のページを見ていない。日本以外からのアクセス |
ただし、GA4では1回の訪問を正確に特定するのが難しく、日時や地域から推定することになります。あくまで目安で、本物かどうかを確かめるには、届いたメールの受信日時と照らし合わせるしかありません。
1件ずつ「どのページから来たか」を記録する仕組み
過去の推定には限界があるので、当社では2026年10月から、問い合わせの1件ごとに入口を記録する仕組みを自社サイトに入れました。お客様の入力は増えません。
- サイトに来た人が最初に見たページと、どこから来たか(Google検索・Yahoo!・紹介サイトなど)をブラウザが一時的に覚えておく
- お問い合わせフォームの送信時に、その情報も一緒に送られる(画面には表示されない)
- 社内に届く通知メールの末尾に「最初に見たページ」「流入元」「閲覧したページ数」が載る。お客様への自動返信には載せない
- WordPressの管理画面に1件ずつ記録され、「相談・引き合い」「営業」「迷惑・機械送信」「テスト」に分類すると、入口ページ別の件数が集計される
こうしておくと、「会社概要から入った人の相談が多い」「コラムから来た人は、技術紹介のページを見てから問い合わせている」といったことが、推定ではなく実際の相談で分かるようになります。直接お問い合わせページに来て数秒で送られたものは、記録が空になることが多く、それ自体が機械的な送信の目印になります。
この考え方自体は新しいものではなく、顧客管理ツールを使っている企業では一般的な方法です。ただ、製造業のサイトはテーマに組み込んだお問い合わせフォームや、無料のフォームプラグインを使っていることが多く、仕組みを足さないと記録が残りません。導入する際は、閲覧情報をお問い合わせとあわせて受け取ることを、プライバシーポリシーにも書いておくと安心です。
本物の件数が分かったら、何を見直すか
本物の相談がどのページから来ているかが分かると、手を入れる順番を決めやすくなります。
- 相談の直前によく見られているページを優先する:会社概要・技術紹介・製作実績などが入口や通り道になっているなら、設備や対応範囲の情報を先に充実させる
- コラムの役割を正しく評価する:コラムから直接の相談が少なくても、会社を知ってもらう入口として働いていることがあります。問い合わせ件数だけで「効果がない」と判断しない
- 報告では2つの数字を分ける:GA4の完了数と、本物の相談の件数を並べて見る。成果の判断は後者で行う
- 営業・機械送信が多いなら、フォームの対策も:人には見えない入力欄で機械送信をはじく方法などがあります。本物の相談を取りこぼさない範囲で行います
問い合わせが少ないこと自体に悩んでいる場合は、製造業HPから問い合わせが来ない原因と改善策もあわせてご覧ください。アクセス数が急に増えたときの見分け方は、PVが急に跳ねたら喜ぶ前に疑う|スパムアクセスのGA4検証にまとめています。
よくある質問
Q. GA4の設定だけで、営業メールを件数から除けますか?
除けません。営業メールは人が送っているので、アクセスの動きだけでは本物の相談と区別がつきません。GA4で絞り込めるのは「明らかに機械的な送信」までで、営業メールかどうかは届いた内容を見て判断する必要があります。
Q. 電話やメールでの直接の問い合わせも記録できますか?
この記事の仕組みで記録できるのは、お問い合わせフォームからの送信だけです。電話や直接のメールは、受けた側で「何を見てご連絡いただいたか」を伺って控えておくのが確実です。
Q. Contact Form 7などのプラグインのフォームでも導入できますか?
考え方は同じで、フォームに画面に出ない項目を足し、社内宛ての通知メールにだけ差し込みます。設定する場所がフォームの種類ごとに異なるため、導入前に今のフォームの作りを確認します。
まとめ:問い合わせは「件数」ではなく「中身」で数える
GA4の問い合わせ件数は、完了ページが表示された回数です。営業メール、機械的な送信、完了ページの直接表示、テスト送信が混ざるため、そのままでは成果の判断に使えません。過去分は送信までの時間・確認画面の通過・流入元でしぼり込み、これからの分は1件ずつ入口ページを記録して分類する。この2つで、「どのページが本当に引き合いを生んでいるか」が見えるようになります。
当社のWebマーケティング支援では、毎月の報告でGA4の数字と実際の相談を分けて確認し、改善の優先順位を決めています。「うちの問い合わせ件数は本物か」というご相談だけでも、お問い合わせからお気軽にどうぞ。