対応漏れを防ぐ「ボール」一覧の作り方|取引先ごとの宿題をAIで整理

結論から言うと、対応漏れを防ぐには、取引先ごとに「いま誰の番か」と「いつまでか」を1か所に書き、期限を過ぎたもの・近いもの・しばらく動いていないものを機械的に一覧にすることです。一覧づくりと催促文の下書きはAIに任せ、催促するか・期限を延ばすかの判断は人が行います。

当社は取引先のWeb運用や社内の事務を、Claude Codeを入口にした業務フォルダで回しており、自社を含む28社分の記録から、この一覧を作っています。この記事では、その仕組みと、作ってみて分かったことを紹介します。

「ボール」で考えると、止まっている案件が見える

仕事の世界では、いま対応する番の人を「ボールを持っている」と言います。当社では、取引先ごとの宿題を「当社の番(当社ボール)」と「先方の番(先方ボール)」に分けて書いています。

分ける理由は、対応漏れの多くが「先方の番」で起きるからです。こちらが見積を出し、先方の回答を待っている案件は、待っている間に誰の頭からも抜けていきます。気づいたときには、先方も忘れていて話が止まっている、ということが珍しくありません。「先方の番」も、こちらが追いかける宿題として書き出しておくことが大切です。

エクセルの案件管理表が回らなくなる3つの理由

多くの会社では、案件の管理をエクセルの表で始めます。最初はうまくいっても、案件が増えると次のような理由で回らなくなります。

  1. 更新を忘れる:作業はしたのに表を直していない。表を見ても本当の状態が分からなくなる
  2. 表が大きくなって見なくなる:列と行が増え、毎朝全部に目を通すのが負担になる
  3. 「どれくらい止まっているか」が見えない:期限のない先方待ちは、何日放置されているかが表に出てこない

どれも、表の作り方より「表を最新に保つ」「見るべき行だけを取り出す」の部分が人手に頼っていることが原因です。当社はこの2つを、記録のルールとプログラムに任せました。

当社の仕組み:取引先ごとの記録から一覧を作り直す

当社の一覧は、次の流れで作られています。

  1. 取引先ごとに「いまの状態」を書く:当社の番、先方の番、それぞれの期限と依頼した日、次の打合せの日を、取引先ごとのファイルに書きます。打合せで決まった宿題も、ここに入れます
  2. 記録を保存するたびに一覧を作り直す:作業の記録を保存すると、プログラムが全社分のファイルを読み、一覧を作り直します。作業の経緯だけ書いて「いまの状態」を直し忘れた場合は、保存そのものが止まるようにしています
  3. 3つの区分に振り分ける:期限を過ぎたもの、期限まで7日以内のもの、14日以上見直されていないものに分けます。期限のない先方の番は、依頼から14日たつと「催促候補」として出てきます
  4. 人もAIも、まず一覧を見る:AIは作業を始めるとき、全社の記録ではなく、この一覧だけを最初に読みます。人は、社内向けの画面や、スマホでも開ける表計算シートの写しで確認します

2つ目の「保存が止まる」仕組みには、記録の管理に使っているGitという道具の機能を使っています。Gitの公式ドキュメントによると、保存(コミット)の直前に決まった確認を動かし、確認が失敗すれば保存を中止できます。更新忘れを人の注意力ではなく、仕組みで止めるのがねらいです。

一覧は短くないと読まれない

一覧を作るときに決めた目標は、「朝スマホで開いて、30秒で今日やることと放置しているものが分かる」ことです。全部の情報を載せた一覧は、結局読まれなくなります。当社では、一覧を短くするために次のことをしました。

  • 1項目の説明は90字で切る。続きは取引先ごとの記録で読む(期限と催促の注記だけは切らない)
  • 期限のない先方の番は、取引先ごとに「催促候補が何件」の1行にまとめる
  • 見るべき順(期限切れ→7日以内→見直しが古いもの)に並べる

この見直しで、一覧の分量は約3割減りました(19KB→13KB)。AIが作業のたびに読む文章でもあるので、短くするとAIの読み込みの負担も減ります。一方で、期限のついた項目そのものは削っていません。短くするのは説明の部分で、宿題の数を見かけ上減らすことはしない、と決めています。

一覧を作っただけでは、宿題は減らない

作ってみて分かったのは、一覧は「見つける」ための道具で、宿題を「減らす」のは別の決まりだということです。特に先方の番は、こちらから声をかけない限り動きません。当社では次のように決めています。

  1. お願いするときに期限を決めて伝える:期限のないお願いは、一覧の上でも後回しになります
  2. 期限を過ぎたら、一度ご連絡する:責める言い方ではなく、「状況の確認」として連絡します
  3. 待たずに進められる部分は先に進める:返事がなくても書ける部分、作れる部分を先に進め、返事が来たら仕上げます
  4. 動かない宿題は、打合せで直接聞く:一覧で目立つものは次の打合せの議題に入れ、その場で決めます

先方の番が増えるのは、先方が忙しいからであることがほとんどです。一覧は先方を責める道具ではなく、こちらが声をかけるタイミングを逃さないための道具だと考えています。

AIに任せること・人がやること

作業担当理由
作業のあとに「いまの状態」を書き直すAI(人が区切りで確認)決まった書き方の更新は、AIが得意で漏れも少ない
一覧を作り直す・並べ替えるプログラム毎回同じ基準で判定したいので、AIの判断に任せない
催促の文面の下書きAI経緯を読んで、丁寧な文面のたたき台を作れる
催促を送るか、期限を延ばすか人取引先との関係を踏まえた判断になる
送信人が確認してから外に出たら取り消せない

一覧の判定をAIではなくプログラムにしているのは、同じ記録からは毎回同じ一覧が出てほしいからです。AIには、一覧を読んで「今日はどれから手をつけるか」を整理させたり、催促の下書きを作らせたりする使い方が向いています。

製造業の仕事に当てはめると

製造業の事務・営業でも、ボールの分け方はそのまま使えます(いずれも架空の例です)。

宿題の例誰の番か期限の決め方
見積を出したA部品の回答先方提出時に「○日ごろご状況を伺います」と伝え、その日を期限にする
改訂版の図面の受け取り先方打合せで決めた日。決まっていなければ依頼日から数えて催促候補にする
支給材の入荷先方加工の開始予定日から逆算する
B製品の見積の提出当社先方の希望日。社内の確認の時間を見込んで前倒しする
検査成績書の送付当社出荷日に合わせる

朝の一覧に「先方の番で期限を過ぎたもの」が出ていれば、それが今日の電話やメールの候補です。AIの業務への組み込み方の全体像は製造業の業務自動化はAIでどこまでできるか|3つの段階で解説しています。

よくある質問

Q. 専用の案件管理サービスを入れたほうがよいですか?

人数や取引先の数によります。当社も検討しましたが、移行は見送りました。AIが作業記録を書く場所と、管理サービスの中身の2か所に「いまの状態」ができてしまい、どちらが正しいか分からなくなるうえ、取引先ごとのルールの見落としも増えると判断したためです。どの道具を使う場合も、「いまの状態の正本は1か所」を守ることが大切です。

Q. 先方への催促が気まずくて、つい後回しにしてしまいます。

お願いするときに「○日ごろに一度ご状況を伺います」と先に伝えておくと、催促ではなく約束どおりの確認になります。文面はAIに下書きさせ、言い回しだけ人が整えると、心理的な負担も手間も小さくなります。

Q. 社内の担当者が複数いても使えますか?

使えます。その場合は、当社の番の宿題に担当者名も書きます。一覧を担当者ごとに絞り込めるようにしておけば、朝それぞれが自分の分だけを見られます。

まとめ:誰の番か・いつまでかを1か所に書き、毎朝見る

対応漏れは、誰の番かと期限が曖昧なまま止まっている案件から起きます。取引先ごとに当社の番・先方の番・期限を1か所に書き、期限切れ・期限間近・放置をプログラムで一覧にします。一覧は短く保ち、期限を伝える・過ぎたら連絡する・待たずに進めるという決まりとセットで使えば、止まっている案件に早く気づけます。

当社では、製造業のお客様向けに、AIに任せる業務の選定から、案件の記録と一覧の仕組みづくり、社内への定着までをAI活用支援として行っています。「エクセルの管理表が回らなくなってきた」という段階のご相談も歓迎です。お問い合わせはこちらから。

取引先ごとの記録の型を含む業務フォルダのテンプレ一式は、noteで公開しています(有料)。Claude Codeの記事はClaude Code 活用ガイドにまとめています。

参考文献

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よくある質問

よくある質問

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はい、ご安心ください。基礎から丁寧にご説明し、実際にAIツールを触りながら学べるハンズオン形式で進めます。ITリテラシーに関わらず、どなたでもご参加いただけます。

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ChatGPT、Claude、Geminiなどの主要な生成AIツールに加え、画像生成AI(nanobanana等)や動画生成AI(veo3等)も扱います。御社の業務に最適なツールをご提案します。

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はい。製造業AI定着プログラムには、終了後6ヶ月間のチャットフォローが付いています。また、AIアドオン・伴走支援では、実務での活用に課題が出た際のご相談や、新しいAIツールの情報提供も継続的に行います。

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