AIに製造業のコラムを書かせるなら、書かせる前に現場の一次情報を集めるのが近道です。一次情報とは、自社の実例・判断の基準・実際の数値・写真のように、その会社にしか書けない材料のことです。これを先にそろえておくと、AIが書いた文章の確認は「書いてある事実が、集めた回答と合っているか」の照合で済みます。
当社は取引先の製造業のコラムを、AIを使って書いています。その前に必ず、1枚・10問以内のヒアリングシートで現場の話を集めています。この記事では、シートの作り方と、実際に送ってみて分かった回収の実績、返ってこないときの段取りを紹介します。
AIだけで書いた記事で困ること
AIで書いた文章の確認に時間がかかる、それらしい誤りを見逃しそうで怖い。製造業のお客様から、こうした相談をよく受けます。材料を渡さずにAIに書かせると、困ることは大きく3つあります。
- どこでも読める一般論になる:材質や工法の説明は書けても、「自社ではこう判断している」が入らない
- それらしい誤りが混ざる:数値や規格名が、もっともらしい形で間違っていることがある。誤りの仕組みは製造業でAIを使う前に知っておきたいリスクと注意点で解説しています
- やっていないことを書いてしまう:対応していない加工や持っていない設備を、自社のノウハウのように書いてしまう。これは問い合わせの後で問題になります
検索の面でも、材料のない量産は勧められません。Googleはスパムに関するポリシーで、検索順位の操作を主な目的に大量のページを作ることを「大量生成されたコンテンツの不正使用」としています。その例として、生成AIなどのツールで、読む人にとっての価値を加えないまま大量のページを作ることが挙げられています。生成AIを使う場合のガイダンスでも、正確性・品質・関連性を優先するよう求めています。
逆に、Googleが示す自己評価の質問には「独自の情報、レポート、研究、分析を提供しているか」「実体験や深い知識を明確に示しているか」があります。AIを使うかどうかより、その会社にしか書けない材料が入っているかが問われている、と当社は受け止めています。
集めたい一次情報と、聞き方の型
製造業のコラムで効く一次情報は、次の6種類です。どれも、現場の方なら少し考えれば答えられるものを選んでいます。
| 集めたい情報 | 聞き方の例 | 記事での使い道 |
|---|---|---|
| 多い依頼 | この加工のご依頼で多い製品や業界を2〜3つ教えてください | 「どんな会社に向いた記事か」がはっきりする |
| 使い分けの説明 | AとBで迷うお客様に、どう説明していますか | 比較の節の結論になる |
| 対応範囲 | 対応できる材質・サイズ・ロットの目安を教えてください | 問い合わせの前に読者が判断できる |
| 現場の工夫 | 不良を抑えるために、実際にやっている工夫は何ですか | 他社の記事と差がつく部分になる |
| トラブル | 起こりやすいトラブルと、注意している点を教えてください | 「失敗しないために」の節になる |
| 写真 | 加工中や仕上がりの写真をスマホで撮ってください | 文章だけより、実際にやっていることが伝わる |
コラムに何を書き、製作実績に何を載せるかの分け方はコラムは集客・製作実績は受注|役割分担と導線設計にまとめています。集めた写真や事例は、製作実績のページにも生かせます。
当社のヒアリングシート:1枚・10問以内
当社のシートは、当月に書くテーマ(通常2本)に絞り、テーマごとに4問以内、共通の質問を1〜2問、合わせて10問以内でA4の1枚に収めます。冒頭には「箇条書きでよい」「全問埋まらなくてよい」「所要10分程度」と必ず書きます。
共通の質問は、記事の監修者のお名前と、写真のお願いです。監修者の欄は「会社名義のままでよければ空欄で結構です」と添え、写真は「スマホで構いません」と書きます。答える側の負担を一つずつ減らすのが、このシートの考え方です。
回収の実績から分かったこと
2026年5月から10月までに送ったコラム用のシートは約22件で、そのうち約15件が返ってきました。回収率は約68%です。実際に送ってみて、3つのことが分かりました。
- 返ってくるかどうかは二極化する:返ってくる会社は当日から数日で返ってきます。返ってこない会社は、40〜50日以上止まったままになります
- 設問が長いほど遅い:30問近い長いシートは、1か月以上返ってきませんでした。10問以内にしているのはこの経験からです
- 回答は短くなりがち:一言だけの回答や空欄も多く、そのままでは記事の材料として足りないことがあります
3つ目への対策として、当社は回答を読んだうえで「もう少し聞きたい点」を書き出し、打合せのときに口頭で聞き直しています。文章で書いてもらうより、話してもらうほうが、現場で実際にやっている工夫が出てきます。シートは答えをもらう道具であると同時に、口頭で聞くときのきっかけでもあります。
返ってこないときの段取りを決めておく
シートが返ってこないと、記事の予定ごと止まってしまいます。当社は次の順番で進めます。
- 送るときに返送の目安(送ってから7〜10日)を決めて、相手にも伝える
- 目安を3営業日過ぎたら、チャットやメールで一度ご連絡する
- 送ってから14日たっても返ってこなければ、公開情報で書ける「選び方」「不良と対策」などの部分を先に書いておき、回答が届いたら一次情報を書き足す
- 訪問や打合せが近いときは、シートの催促より、その場で口頭で聞くほうを優先する
自社でコラムを書く場合も同じです。社長や現場の責任者に「時間のあるときに書いて」と頼むと、まず返ってきません。10問以内の紙を渡し、期限を決め、返ってこなければ15分だけ時間をもらって聞く。この段取りを決めておくだけで、記事の予定が止まりにくくなります。
AIに書かせた後の確認を短くするコツ
一次情報を集めたら、AIに渡して下書きを作らせます。このとき、次の3つを指示に入れておくと、確認がぐっと楽になります。
- 回答に無い自社の事実は書かない:設備・対応範囲・実績は、シートの回答にあるものだけを使う
- どの回答を使ったかを示させる:自社に関する文ごとに「質問3の回答から」のように出どころを書き出させる
- 一般的な説明と自社の話を分ける:一般的な説明は公的な資料などの出典で確かめ、自社の話はシートの回答と突き合わせる
こうすると、確認する人は記事を頭から疑って読む必要がなくなり、「この文はこの回答と合っているか」を順に見ていけば済みます。最後に、回答をくれた現場の方に一度目を通してもらえば、自社として出せる記事になります。
よくある質問
Q. 現場が忙しく、10問でも答える時間がありません。
全問に答えてもらう必要はありません。1記事に一次情報が1つ入るだけでも、一般論だけの記事とは差がつきます。シートを渡すのが難しければ、質問を手元に置いて、休憩時間に5分だけ話を聞く方法もあります。
Q. ネタ切れで、何をテーマにすればよいか分かりません。
「お客様からよく聞かれる質問」と「他社で断られたと言って相談に来た案件」を書き出してみてください。どちらも、自社が答えを持っているテーマです。そのテーマで上の6種類の質問を作れば、そのままシートになります。
まとめ:材料を先に集め、AIには材料の範囲で書かせる
AIに記事を書かせる前に、1枚・10問以内のシートで現場の一次情報を集めます。返ってこないときに備えて、返送の目安・催促・先に書く部分・口頭での聞き取りの順番を決めておきます。AIには回答の範囲で書かせ、出どころを示させれば、確認は照合で済みます。その会社にしか書けない記事は、こうして材料を集めるところから始まります。
当社では、製造業のお客様向けに、AIを使った記事づくりの仕組みづくりから、社内への定着までをAI活用支援として行っています。「AIで書いた記事をどう確認すればよいか」という段階のご相談も歓迎です。お問い合わせはこちらから。
参考文献
- スパムに関するポリシー(Google 検索セントラル)(2026年10月15日確認)
- ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス(Google 検索セントラル)(2026年10月15日確認)
- 有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成(Google 検索セントラル)(2026年10月15日確認)