2026年に入ってから、当社が支援する製造業のクライアントに、はっきりした変化が起きています。ChatGPTで文章や画像を作る段階を越えて、社長自身がClaude Code(AIエージェント型ツール)を使い、自社サイトの修正や業務の自動化を「実行」し始めたのです。この1ヶ月だけでも、研磨業の社長が採用ページの検索対策コードをAIに実装させ、精密加工業の社長がAI導入用の新しいパソコンを用意し、溶接・板金業の社長が日報入力の自動化に着手しました。
この記事では、チャット型AIとClaude Codeの違い、実際に町工場の社長たちが何をやっているのか、そして始め方とつまずきポイントを解説します。
町工場の社長の「AIの使い方」が変わり始めた
展示会のAIコーナーがどこも盛況なように、生成AIはすでに製造業でも「知っている」段階から「使っている」段階に移りました。ただ、その使い方の大半は、チャット画面で文章を作らせる・調べ物をさせるという範囲に留まっています。
いま起きている変化はその先です。メールの下書きを「作らせる」のではなく、ホームページの修正・データの入力・資料の整理といった仕事を「やらせて終わらせる」。この段階に入った会社は、AIの費用対効果が目に見えて変わります。AIの基本から知りたい方は製造業の社長が知っておくべきAIの基本から読んでください。
ChatGPTとClaude Codeは何が違うのか

Claude Codeは、パソコンの中で動くAIエージェントです。チャット型AIとの違いを整理すると次のようになります。
| チャット型AI(ChatGPTなど) | Claude Code(エージェント型) | |
|---|---|---|
| 成果物 | 文章・画像・回答 | 完了した作業(ファイル修正・データ登録・集計) |
| 動く場所 | ブラウザの中 | 自分のパソコンの中(ファイルやシステムに直接触れる) |
| 外部システム連携 | 基本コピペで橋渡し | API経由で直接読み書き |
| 手順の再利用 | 毎回プロンプトを書く | 「スキル」として保存し、次回は一言で再実行 |
| 向いている仕事 | 文章作成・壁打ち・調査 | 繰り返し業務の自動化・サイト修正・データ処理 |
操作は日本語です。「この画像の内容をシステムに登録して」「このページの構造化データを直して」と、社員に頼むのと同じ言葉で指示します。プログラミング知識は「あればなお良い」程度で、分からないことはClaude Code自身に聞けば教えてくれます。料金の仕組みはClaude Codeの料金解説にまとめています。
実例:社長たちは何をやっているか

当社のクライアント3社で、この1ヶ月に実際にあった動きです(いずれも従業員数十名以下の町工場です)。
①研磨業:採用ページの検索対策を自分で実装。求人情報をGoogleの求人検索に載せるには「構造化データ」というコードの追加が必要です。この会社の社長は、編集画面のスクリーンショットと自社サイトのURLをAIに渡し、「求人関係の構造化データを追加したい」と指示して、外注せずに実装まで進めました。分からない箇所だけ当社がサポートする体制です。
②溶接・板金業:手書き日報の入力自動化。現場の手書き日報を事務員がクラウドの工数管理へ手入力していた作業を、Claude CodeでAIに読み取らせてAPI登録する仕組みに切り替え中です。
③精密加工業:図面管理・作業標準書の内製化。市販システムのサブスクを増やす代わりに、AI対応の新しいパソコンを導入し、社内の人材がAIと一緒に図面管理の仕組みや作業標準書を内製する方針に舵を切りました。生産管理システムの改修を担う社員が、AIを使いながらスキルアップしていく計画です。
始め方とつまずきポイント

導入で最初につまずくのは、ほぼ間違いなくインストールです。Claude Codeは「ターミナル」という黒い画面からコマンドを打って導入します。ここだけは普段のパソコン操作と勝手が違うので、次の点を押さえてください。
- インストール手順は公式ドキュメントのコマンドをコピーして貼るだけ。意味は分からなくてよい
- ターミナルが苦手なら、ファイルの状態を見ながら操作できるエディタ(Cursorなど)を併用すると楽になる
- 最初の題材は「壊れても困らない繰り返し業務」を1つだけ選ぶ。日報・見積もりの下書き・写真の整理あたりが定番
- 図面や顧客情報を扱う前に、AIに渡してよい情報の社内ルールを決める(情報漏洩対策の解説)
「サブスクを増やす」から「内製する」へ

図面管理システム、作業標準書の動画作成ツール、日報アプリ——展示会に行けば便利なSaaSが並んでいますが、1つ数万円の月額をいくつも契約すれば、固定費はすぐに膨らみます。前述の精密加工業の社長が出した結論は「それらの機能を、AIを使って自社で作れるようになるのが一番いい」でした。
すべてを内製すべきだとは言いません。ただ、Claude Codeのようなエージェント型AIの登場で、「買うか、我慢するか」の二択に「社内の人材がAIと作る」という第三の選択肢が加わったのは事実です。社内にいる「ものづくりが分かる人」がAIを使えるようになったとき、その組み合わせは外部のどんなベンダーより強くなります。どのAIから始めるか迷ったらおすすめAI比較も参考にしてください。
よくある質問
Q. パソコンは買い替えが必要ですか?
A. Claude Code自体は処理をクラウド側で行うため、極端に古くなければ現在のパソコンで動きます。MacのほうがWindowsより導入がスムーズという傾向はあります。買い替えるなら、AI処理支援機能を持つ最近のモデル(いわゆるAI PC)を選んでおくと、今後ローカルで動くAI機能の恩恵も受けられます。
Q. 社長がやるべきですか、それとも若手に任せるべきですか?
A. 理想は両方です。決裁権を持つ社長が可能性の感触を掴み、実務は日常的にパソコンを使う社員が担うと定着が速い。実際にうまくいっている会社は、社長が最初の1つを自分で動かしてから、社内に展開しています。
まとめ:「作らせるAI」から「任せるAI」へ
製造業のAI活用は、文章を作らせる段階から、仕事を任せて完了させる段階に入りました。採用ページの検索対策、日報入力の自動化、社内システムの内製——町工場の社長たちがすでに始めている実例は、どれも特別な人材がいなくても再現できるものです。最初の一歩はインストールという小さな関門だけ。題材を1つ決めて、まず動かしてみてください。
当社では、導入レクチャーから最初の自動化テーマの伴走までをAI活用支援として提供しています。「何から任せればいいか分からない」段階のご相談も歓迎です。お問い合わせはこちらから。