「ホームページに力を入れたいが、Web担当を雇うほどの仕事量はない。かといって自分たちでは手が回らない」。中小製造業のWeb運用は、ほぼ例外なくこのジレンマにぶつかります。当社がクライアントとの打ち合わせでこの相談を受けたとき、お互いに一番しっくりきた表現が「Web版の税理士」でした。税理士を社員として雇う会社はほとんどありませんが、月に一度相談して数字の報告を受ける会社は多い。Web運用も同じ形が合理的だ、という考え方です。
この記事では、専任雇用・都度外注・顧問型の3つの選択肢を費用と得られるものの面から比較し、「Web版税理士」型の支援で何が受けられるのかを解説します。
中小製造業に「専任のWeb担当」は本当に必要か

WebやAIを使いこなせる人材を専任で雇用すると、給与・社会保険・採用コストを含めて月40〜50万円相当の負担になります。しかし従業員数十名規模の製造業で、その人が毎日フルタイムで取り組むほどのWeb業務があるかというと、正直ありません。実際に必要なのは、次のような「月数時間〜十数時間分」の仕事です。
- アクセスデータを読んで、今月やるべき改善を決める
- コラムや製作実績を追加する
- テキスト修正・画像差し替えなどの軽微な更新
- WordPressやサーバーの保守・バックアップ
「専門人材の1ヶ月分の給料を払うほどの仕事はない。でも素人が片手間でやれるほど簡単でもない」——ここが出発点です。
選択肢は3つ——雇う・都度外注・顧問型

この状況での現実的な選択肢を並べると、次の3つになります。
| 専任Web担当を雇用 | 必要な時だけ都度外注 | 顧問型(月額の伴走支援) | |
|---|---|---|---|
| 月あたりの費用感 | 40〜50万円相当 | 案件ごと(コラム外注は1本10万円超が相場) | 雇用の1/5〜1/10程度 |
| 継続的な改善 | できる | できない(言われたことしかやらない) | できる(データを見て先回りで提案) |
| データ分析 | 担当者の力量次第 | 基本なし | 毎月のレポートと打ち合わせで共有 |
| リスク | 採用失敗・退職で振り出しに | サイト全体を見る人が不在になる | 依頼先の力量に依存(選定が重要) |
都度外注の弱点は、サイト全体の数字に責任を持つ人がいなくなることです。ページ単位の制作はできても、「どのページを作るべきか」を決める機能がない。逆に専任雇用は、その機能に対してコストが重すぎる。この中間を埋めるのが顧問型です。制作費用の相場観は製造業のホームページ制作費用と相場にまとめています。
「Web版税理士」という考え方

税理士との付き合い方を思い浮かべてください。毎日何かを頼むわけではない。しかし月次で数字がまとまって届き、月に一度相談の場があり、判断に迷うことがあればいつでも聞ける。決算や届出のような専門作業は任せてしまう。「雇うほどではないが、いないと困る」専門機能を、顧問という形で外部に持つわけです。
Web運用もまったく同じ構造が成り立ちます。アクセス解析データ(GA4・Search Console)が会計帳簿にあたり、月次レポートが試算表、月1回の打ち合わせが顧問面談です。「順位は高いのにクリックされていないページがある」「このキーワードのコラムを足すべき」といった判断は、税務判断と同じで、データを継続的に見ている専門家だからできることです。実際、この体制で半年〜1年運用したサイトは、検索流入が数倍に伸びるケースが多くあります。進め方の基本は製造業SEOの始め方も参考にしてください。
顧問型で受けられる支援の中身

顧問型の支援は大きく「保守」と「運用支援」の2階建てです。混同されやすいので、それぞれの守備範囲を整理します。
| 保守(サイトを壊さない) | 運用支援(サイトを伸ばす) | |
|---|---|---|
| 目的 | 現状維持・事故対応 | 集客・引き合いの増加 |
| 主な内容 | WordPress・サーバーの更新、稼働監視、バックアップ、軽微なテキスト・画像修正、破損時の復旧 | 月次レポート、月1回の打ち合わせ、キーワード設計、コラム下書きの作成、ページ改善、AI活用の相談 |
| 費用感 | 月1〜2万円程度 | 月数万円〜(支援の深さで変動) |
| これだけで伸びるか | 伸びない(守りの契約) | 伸ばすための契約 |
注意したいのは、「保守契約を結んでいるから安心」と思っていても、保守はあくまで守りだということです。デザインの大幅変更や新規ページ制作が保守に含まれないのはどの会社でも同じで、サイトを伸ばす活動は運用支援の領域になります。契約形態の落とし穴はリース契約の落とし穴でも取り上げています。
費用対効果をどう判断するか
顧問型の年間費用は、専任者の給料1〜2ヶ月分程度に収まることがほとんどです。判断の物差しは次の3つです。
- 人件費との比較: 同じ機能を雇用で持った場合の月40〜50万円と比べる
- 外注単価との比較: コラム制作は外注相場で1本10万円超。月2本の下書きが含まれるなら、それだけで元が取れる計算になる
- 成果の実測: 半年後に検索流入・引き合い件数がどう変わったかで評価する。成果を測れる形(レポート・引き合い記録)が契約に含まれているかを最初に確認する
逆に言うと、レポートも打ち合わせもなく「何をやっているか分からない」月額契約は、顧問型ではなくただの保守です。依頼先を選ぶときは、毎月何が報告され、誰がデータに責任を持つのかを確認してください。
よくある質問
Q. 社内にWebに興味のある若手がいます。それでも外部に頼むべきですか?
A. 両立がおすすめです。窓口担当として社内の若手を立て、専門判断と実務を顧問側が担う「二人三脚」は、実際に多くの会社でうまくいっている形です。担当者が経験を積めば内製の比率を上げていけますし、顧問との打ち合わせ自体が実践的な教育の場になります。
Q. AIが進歩すれば、自社だけで運用できるようになりませんか?
A. 作業の多くはAIで自社完結できるようになっていきます。ただし「データを見てどこに手を打つか」という判断は、比較対象(他社サイトの動き・業界の相場観)を持っている人間のほうがまだ有利です。AIの社内活用を教わりながら、判断だけ顧問に相談する形に移行していくのが現実的です。
まとめ:雇わずに「専門機能」だけを持つ
中小製造業のWeb運用は、専任を雇うには仕事が足りず、都度外注では全体を見る人がいなくなります。税理士と同じように、月次の数字報告と月1回の相談、そして専門作業の代行を外部の顧問に持たせる——この形なら、雇用の1/5〜1/10の費用で「Web担当がいる会社」と同じ機能が手に入ります。
当社の月額マーケティング支援は、まさにこの「Web版税理士」型のサービスです。GA4・Search Consoleのレポート、月1回の打ち合わせ、コラム下書きの作成までを一括で担当します。支援の考え方は選ばれる理由をご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。