「人が足りない。でも求人媒体に頼むと正社員1人で50万円、しかも来てくれるとは限らない」——いま製造業の現場で、これは決して珍しい悩みではありません。慢性的な人手不足のなか、採用コストだけが膨らんでいく。そんな状況を変える現実的な一手が、Google広告(リスティング広告)を月3万円から始めるテストマーケティングです。
この記事では、私たちが実際に製造業の採用支援で提案している「月3万円・自社サイトに直接応募を集める」採用広告の始め方を、失敗しないキーワード設計や不正クリック対策まで含めて解説します。さらに、お金をかけずにGoogleの求人枠に載せる方法もあわせて紹介します。
なぜ製造業の採用に「月3万円のGoogle広告」なのか
求人媒体を使った採用には、見えづらいコスト構造があります。正社員の採用単価は1人あたり約50万円が相場。しかも、せっかく採用しても3〜6ヶ月で離職してしまうケースは少なくありません。媒体側のビジネスは人が動いて(=転職して)はじめて成り立つ面があるため、構造的に「定着」とは利害が一致しないこともあります。
実際、採用から数ヶ月後に媒体側から本人へ「その後いかがですか」と連絡が入り、それが転職を考えるきっかけになってしまう——という話も現場では珍しくありません。媒体に依存し続ける限り、採用と離職のサイクルにお金を払い続けることになりがちです。だからこそ、応募が自社サイトに直接集まる仕組みを、自社の資産として持っておく意味があります。
一方、Google広告はクリック課金制で、上限予算を自分でコントロールできます。たとえば月3万円を上限に設定すれば、3万円分クリックされた時点でその月の広告は自動的に止まります。「気づいたら高額請求」という事態が起きない仕組みです。50万円を一度に払うのに比べ、まずは小さく試して反応を見られるのが最大の利点です。
| 観点 | 求人媒体 | 自社サイト+Google広告 |
|---|---|---|
| 費用 | 正社員1人あたり約50万円 | 月3万円〜(上限設定可) |
| 応募の集まり先 | 媒体側 | 自社の採用ページ |
| コスト発生のタイミング | 採用成立・掲載ごと | クリックされた分だけ |
| 続けるほどの資産性 | 残らない | 自社サイト・ノウハウが残る |
| 立ち上げの早さ | 早い | 採用ページの整備が必要 |
ただし、どんな採用手段でも1〜2ヶ月で劇的な効果が出ることはまずありません。Google広告も「すぐに応募が殺到する魔法」ではなく、データを見ながら改善を重ねていく前提で考えてください。
費用感のリアルと、公開されている事例
「月3万円で本当に足りるのか」を、数字の感覚でつかんでおきましょう。採用系のクリック課金広告では、1クリックあたりの単価(CPC)は数十円〜数百円程度が一般的です。たとえば求人ボックスの平均クリック単価は約133円(最低25円〜)とされています。仮に1クリック150円とすれば、月3万円で約200回のクリックを確保できる計算です。採用ページの中身が良ければ、ここから十分に応募が見込めます。
「採用にリスティング広告」と聞くと、月20〜30万円といった費用相場を思い浮かべる方もいます。これは代理店にフルで任せた場合の目安で、Google広告自体には最低出稿金額がなく、少額から始められます。だからこそ「まず月3万円で試す」が成立するのです。
公開されている事例も参考になります。たとえば、ある企業は月およそ7万円のリスティング運用と「広告に写真を入れる」などの改善で、3ヶ月のうちに応募13件を獲得したと採用支援会社が紹介しています。また、配信エリアを募集拠点の半径数kmに絞り込むことで応募単価を約半分に下げた例もあります(こうした地域配信は月1万円台から実施できるサービスもあります)。製造職に限れば、求人媒体(Indeed)側の事例ですが、原稿をターゲット別に作り込んだことで応募単価が約12万円から1万円以下まで下がったという報告もあります。
いずれも業種や条件によって結果は変わりますが、共通して言えるのは「少額でも、誘導先(採用ページ)と原稿・キーワードを作り込めば応募は取れる」ということです。
広告より先に「採用ページ」を整える
順番を間違えないでください。Google広告は、あくまで自社サイトの採用ページへ人を誘導するための仕組みです。肝心の誘導先(採用ページ)が無い、あるいは中身が薄いままでは、せっかくクリックしてもらっても応募にはつながりません。まずは中途・経験者募集の採用ページを用意することが先決です。
このとき、技術的にひとつ注意点があります。見出しを画像に埋め込んで作るのは絶対にNGです。一見きれいに見えても、Googleは画像の中の文字を読めないため、検索エンジンにまったくヒットしません。これはSEOの基本中の基本ですが、制作会社任せのサイトでは意外と見落とされがちなポイントです。見出しは必ずテキストで作りましょう。詳しくは 製造業のホームページに問い合わせが来ない原因 でも解説しています。
採用ページには、最低限おさえておきたい要素があります。完璧を目指して止まるより、まず公開してしまうことを優先しましょう。
- 募集要項:職種(中途・経験者募集など)、勤務地、雇用形態、給与レンジ、勤務時間。
- 大きな募集バナー:トップや採用ページに「採用募集中」が一目で分かるバナーを置く。
- 仕事内容と1日の流れ:どんな加工・作業をするのかを具体的に。
- テキストの見出し:見出しは画像化せず、必ずテキストで作る(SEOの基本)。
- SNSの入り口:Instagram・YouTubeのアイコンを設置する。
特に「採用募集中」のバナーを大きく置くだけでも、サイトを訪れた人やその知人に「あの会社、人を募集しているらしい」と伝わるきっかけになります。若い世代を採りたいならSNSの入り口アイコンを置くだけでも印象が変わります。すぐに運用できなくても、「発信している会社だ」という空気感が伝わるだけで効果があります。採用ページの作り方に不安があれば ホームページ制作 もご相談ください。
失敗しないキーワード設計|「社名」でなく「ニーズ」で打つ

Google広告の成否は、ほぼキーワード設計で決まります。ここで最もよくある失敗が、自社名やサービス名で広告を打ってしまうことです。たとえば自社の独自ブランド名や商品名で広告を出しても、それを検索するのは「すでに自社を知っている人」だけ。新しい応募者には届きません。
狙うべきは、求職者が実際に打ち込む「ニーズのキーワード」です。製造業の仕事を探している人は「製造業 求人」のように検索します。実際、「製造業 求人」の検索ボリュームは月およそ4,000回あり、十分な母数があります。ここに地域名を組み合わせると、ボリュームは下がりますが「その地域で製造業の仕事を探している、ニーズの強い人」をピンポイントで捕まえられます。
| 避けたいキーワード | 狙いたいキーワード | |
|---|---|---|
| 例 | 自社名・独自ブランド名で出稿 | 「製造業 求人」+地域名 |
| 検索する人 | すでに自社を知っている人 | 仕事を探している新しい人 |
| 結果 | クリック課金がムダになりやすい | 応募ニーズのある人に届く |
どのキーワードで、どの時間帯に出すのが最適かは、いまはAIに分析させることで精度高く・最小限の費用で詰められます。「とりあえず出す」のではなく、ニーズ語に絞って小さく始めるのが、限られた予算を活かすコツです。キーワードの考え方は 製造業のSEO対策完全ガイド の考え方とも共通します。
クリック課金の落とし穴と「不正クリック」対策

クリック課金制には、知らないと損をする落とし穴があります。それが不正クリックです。なかには深夜3時などに自動で大量クリックを発生させ、広告費を浪費させる悪質な業者も存在します。何も設定しないままだと、応募につながらないクリックで予算を食いつぶされかねません。
そこで、出稿の最初に必ずやっておきたい設定があります。
- 不審な時間帯・IPの除外:深夜帯など、明らかに不自然なクリック元をあらかじめ除外する。
- 配信時間帯の最適化:求職者が実際に見ている時間に絞って配信する。
- 上限予算の設定:月3万円など上限を決め、それ以上は自動で止める。
- キーワードの絞り込み:ニーズ語に限定し、無関係な検索でのクリックを防ぐ。
こうした設定は専門業者が代行サービスとして提供しているほどで、「広告運用だけで食べている」プロがいる世界です。とはいえ、いまはAIを使えば、最適な配信時間帯やキーワードを分析しながら、最小限の費用で運用を詰めていくことが現実的になってきました。難しそうに見えても、ツールとAIを味方につければ、少人数の会社でも十分に運用できます。
これらの設定や日々の調整を、専門の運用代行に任せる方法もあります。その場合、手数料は広告費の1割程度が目安です。たとえば予算3万円なら、約2万7,000円が実際の広告費、約3,000円が運用手数料というイメージです。初月はプロに運用を任せてデータを取り、キーワードや時間帯を見直しながらPDCAを回していくのが現実的な進め方です。
お金をかけずにGoogleの「求人枠」に載せる方法

広告の話をしてきましたが、実はお金をかけずにGoogleの求人枠に表示させる方法もあります。地域名+求人などで検索すると、検索結果に専用の「求人ボックス(Googleしごと検索)」が表示されることがあります。ここに自社の求人を載せるのに、広告費はかかりません。
カギになるのが構造化データ(JobPostingマークアップ)です。採用ページに、職種・勤務地・雇用形態・給与などの情報を決められた形式でマークアップしておくと、Googleがそれを求人情報として認識し、求人枠に掲載してくれる可能性が生まれます。Googleのしごと検索(Google for Jobs)への掲載は掲載料も成功報酬もかからない完全無料です(Google公式ドキュメントに仕様が公開されています)。知らないと出せない、知っていれば無料で出せる——まさに損得が分かれるポイントです。
効果も侮れません。ある企業が自社の採用ページにJobPosting構造化データを実装したところ、しごと検索経由の応募コンバージョン率が通常のGoogle検索経由を大きく上回ったという実測例も公開されています(単一サイトの事例のため数値は参考値)。広告(有料)とJobPosting(無料)は併用できるので、両輪で進めるのが理想です。
忘れてはいけない「紹介」と、90日の進め方
最後に、コストパフォーマンスで言えば従業員からの紹介(リファラル)が最も強いことも付け加えておきます。紹介してくれた社員に紹介手当(金一封)を用意するだけで、継続的に良い人材が集まっている製造業も実際にあります。広告・無料枠・紹介を組み合わせて、間口を広げておくのがおすすめです。
ここまでの内容を、90日で立ち上げる手順に落とすと次のようになります。
- 1〜30日目:採用ページを作る
中途・経験者向けの採用ページを用意し、見出しはテキストで作成。SNSの入り口アイコンも設置します。 - 31〜60日目:無料枠と広告を仕込む
JobPosting構造化データで求人枠への掲載を狙いつつ、「製造業 求人+地域」などニーズ語でGoogle広告を月3万円から開始。不正クリック除外・上限予算を最初に設定します。 - 61〜90日目:データで改善する
クリック・応募の数字を見て、効くキーワードと時間帯に絞り込み。並行して社員紹介の仕組み(紹介手当)も整えます。
まとめ|小さく始めて、自社に応募を集める
- 求人媒体は1人約50万円。Google広告なら月3万円・上限設定で小さく試せる。
- 広告より先に採用ページを整える。見出しの画像埋め込みはNG。
- キーワードは社名でなく「製造業 求人+地域」などニーズ語で打つ。
- 不正クリック除外・上限予算を最初に設定。代行手数料は約1割。
- JobPosting構造化データなら求人枠に無料掲載。広告と併用する。
- 最強は社員紹介。広告・無料枠・紹介を組み合わせる。
採用は、一度に大きなお金を投じるより、小さく始めて自社に応募を集める仕組みを育てる方が、長い目で見て強い武器になります。なお、集客と受注の役割分担という考え方は採用にも応用できます。あわせて コラムは集客・製作実績は受注|役割分担と導線設計 もご覧ください。
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