COLUMN

自社名でリスティング広告は無駄?|指名検索と新規KWの使い分け

INSIGHTS & TIPS

自社の会社名で検索したとき、検索結果の一番上に「広告」表示で自社サイトが出てきていませんか? 一見すると目立ってよさそうに思えますが、これは多くの場合広告費のムダ遣いになっています。製造業のリスティング広告(Google広告などの検索連動型広告)で、私たちが現場で最もよく指摘する“あるある”の一つです。

この記事では、「指名検索(自社名)」と「新規獲得キーワード」の役割の違いを整理し、限られた広告予算をムダにしないキーワードの考え方を解説します。あわせて、「競合の社名を狙う広告はアリか」「引き合いは来るのに受注に至らないときに見直すべきこと」まで踏み込みます。

なぜ「自社名」での広告出稿はムダになりやすいのか

理由はシンプルです。自社名で検索する人は、すでにあなたの会社を知っている人だからです。広告の本来の役割は「まだ自社を知らない人に見つけてもらう」こと。すでに知っている人に広告を当てても、新規の獲得にはつながりません。

しかも、よほど似た社名の会社が多くない限り、自社名で検索すれば、自社のコーポレートサイトは自然検索(広告でない通常の検索結果)で基本的に一番上に出てきます。つまり、広告を出さなくても確実に見つけてもらえる相手に、わざわざクリック課金の広告を出している状態なのです。指名検索は元々クリックされやすいので、クリックされるたびに、本来払う必要のなかった広告費が発生してしまいます。

「目立つから」と自社名広告を続けるより、その予算は自社をまだ知らない見込み客に届くキーワードへ回すべきです。

広告で取るべきは「自社を知らない人」|指名と新規の役割分担

指名検索(既存客)と新規キーワード(新規客)の役割の違いを示す比較図

では、どんなキーワードに広告を出すべきか。答えは「課題・ニーズで検索している、自社を知らない人」が打ち込む言葉です。製造業なら「板金加工 東京」「精密板金 小ロット」「パイプ曲げ 試作」のような、加工内容+地域や条件の組み合わせがこれにあたります。こうしたキーワードで広告を出せば、発注先を探している新規の相手に見つけてもらえます。

指名検索(自社名)と新規獲得キーワードは、そもそも役割が違います。整理すると次のとおりです。

観点指名検索(自社名)新規獲得キーワード
検索する人すでに自社を知っている自社を知らない/発注先を探している
キーワード例「○○製作所」など社名「板金加工 +地域」「パイプ曲げ 試作」
自然検索での順位放っておいても上位に出やすい競合が多く上位は取りにくい
広告を出す価値低い(自然検索で十分)高い(新規との接点になる)

もちろん、自社名の自然検索で確実に1位を取れているかは前提条件です。自然検索で見つけてもらう土台づくりについては 製造業のSEO対策完全ガイド もあわせてご覧ください。

代理店任せにしない|「キーワードごとの費用対効果」を必ず確認する

キーワードごとの費用対効果データを確認するダッシュボードのイメージ

広告運用を代理店に任せている場合、ぜひ確認してほしいデータがあります。それが「キーワードごとの費用対効果」です。Google広告では、どのキーワードにいくら使っていて、どのキーワードが実際に問い合わせ(コンバージョン)につながっているかまで、細かく見ることができます。

ところが、運用を任せきりにしていると「なんとなく広告は出ているが、どのキーワードが効いているのか分からない」状態になりがちです。打ち合わせの内容をメモし忘れて、何にお金を使っているか説明できない——というのは決して珍しくありません。だからこそ、運用している側にキーワードごとの費用対効果が分かるデータを一度見せてもらうことが大切です。

具体的には、次の項目をキーワードごとに出してもらいましょう。これらが揃えば、どこにムダがあり、どこを伸ばすべきかが一目で分かります。

  • 表示回数・クリック数:そのキーワードがどれだけ表示され、クリックされたか。
  • クリック単価(CPC)と消化金額:1クリックいくらで、合計いくら使ったか。
  • コンバージョン数:問い合わせ・資料請求など、成果につながった件数。
  • コンバージョン単価(CPA):成果1件あたりいくらかかったか。

このデータを見れば、「自社名にムダな費用がかかっていないか」「問い合わせにつながるキーワードはどれか」がはっきりします。効いているキーワードに予算を寄せ、効いていないキーワード(とくに自社名)を削る。この見直しだけで、同じ予算でも成果は大きく変わります。

競合の社名を狙う「指名刈り取り」広告はアリか?

競合他社の社名を狙って広告を出す「指名刈り取り」はブランド毀損リスクでNGという図

自社名で検索したときに、競合他社の広告が表示されることがあります。これは競合が、あなたの会社名をキーワードに設定して「あなたを探している人を自社に引き込もう」としている状態です。技術的には可能な手法で、これを見て「うちも競合の名前で広告を出してやり返そう」と考える方もいます。

しかし、私たちは競合の社名を狙う“指名刈り取り”広告は基本的におすすめしません。理由はブランドイメージを損なうリスクです。相手からすれば「あの会社、うちの名前で広告を出しやがったな」という印象になりがちで、業界内での評判を考えるとマイナスに働きやすい。よほど相手が全国的に有名で、戦略的に勝算がある場合を除けば、割に合わないことが多いのです。

競合に自社名で広告を出されていると気になりますが、前述のとおり自社名の自然検索では自社が上位に出るのが基本です。慌てて同じ土俵で殴り合うより、自社の強みが伝わるページと、新規獲得キーワードの広告に力を注ぐほうが健全です。

ちなみに「自社名で広告を出すのが完全にダメ」というわけではありません。たとえば競合に自社名を大量に刈り取られていて、防衛のために限定的に出すといった判断はあり得ます。ただしその場合も、費用対効果のデータで「本当に必要か」を見極めるのが前提です。原則は「広告費は、自社を知らない人に届けるために使う」。この考え方さえ外さなければ、判断を誤ることはありません。

「引き合いは来るのに受注に至らない」ときの見直し方

価格競争になりやすい一般加工と、価格比較されにくい勝てる工程を対比した図

キーワード設計の前に、もう一段上の戦略を見直すべきケースもあります。それが「見積もり依頼はたくさん来るのに、受注に至らない」という状態です。

たとえば板金加工のような分野は、いまや価格競争が全国区です。100件の引き合いが来ても、地方の小さな工場や、より安い地域の業者と価格で比べられ、受注できない——ということが起こります。この状態でいくら「板金加工」のキーワードに広告費を投じても、消耗戦になりかねません。

こんなときに効くのが、「価格競争に巻き込まれにくい、自社が勝てる工程・分野」でPRするという発想の転換です。たとえばパイプ曲げや特殊な加工など、対応できる会社が限られる分野は、価格だけで比較されにくく、受注につながりやすくなります。下表のように、訴求の軸を変えるだけで戦う土俵が変わります。

価格競争になりやすい訴求勝ちやすい訴求
一般的な加工(例:板金加工)得意・希少な工程(例:パイプ曲げ)
比較のされ方全国の業者と価格で比較対応できる会社が限られ価格比較されにくい
結果引き合いは多いが受注しにくい引き合いの質が上がり受注につながる

広告のキーワードも、サイトのトップで打ち出す内容も、この「勝てる工程」に寄せていく。受注に直結するページづくりの考え方は コラムは集客・製作実績は受注|役割分担と導線設計 もあわせてご覧ください。

広告の前後で効く「無料の土台づくり」

リスティング広告は即効性がある一方で、止めれば流入も止まります。広告と並行して、お金のかからない土台も育てておきましょう。

  • 自然検索で指名・課題ワードを取る:コラムや製作事例を増やし、広告に頼らない流入を育てる。
  • サイト同士を内部リンクでつなぐ:コーポレートサイトからサービスサイトへリンクを張ると、Googleのクロール・インデックス登録が進みやすくなります。新しく作ったサイトやページほど効果的です。
  • 回遊率を上げる構造にする:訪れた人が他のページも見たくなる導線を整え、1回の訪問の価値を高めます。

広告(有料)で新規の入口を作りながら、自然検索(無料)の土台を積み上げる。この両輪で、広告を止めても流入が残る状態を目指します。問い合わせが伸び悩む原因の切り分けは 製造業のホームページに問い合わせが来ない原因 も参考になります。

まとめ|広告費は「知らない人」に届けてこそ活きる

  • 自社名(指名検索)への広告はムダになりやすい。自然検索で十分上位に出る。
  • 広告で狙うのは「自社を知らない人」のニーズ語(例:板金加工+地域)。
  • 運用は任せきりにせず、キーワードごとの費用対効果を必ず確認する。
  • 競合の社名を狙う指名刈り取りは、ブランド毀損リスクで非推奨
  • 引き合いは来るが受注しないなら、勝てる工程に訴求を切り替える
  • 広告と並行して自然検索・内部リンクの無料の土台を育てる。

リスティング広告は、正しいキーワードに使えば強力な新規開拓の武器になります。逆に、自社名や効かないキーワードに垂れ流すと、費用だけがかさみます。「その広告費は、自社を知らない見込み客に届いているか?」——この一点を見直すだけで、成果は大きく変わります。

テックオーシャンでは、製造業に特化して、広告のキーワード設計から費用対効果の分析、価格競争に巻き込まれないサイト設計までを月額でご支援しています。「いまの広告費、ムダになっていないか診断してほしい」という方は、月額マーケティング支援選ばれる理由をご覧ください。ご相談は お問い合わせ から承ります。

関連コラム